人生100年時代オーラルケアの重要性
1950年の記録では男性平均寿命58年、女性平均寿命61年
2022年の記録では男性平均寿命81年、女性平均寿命87年
約70年の間に日本の平均寿命は大幅に伸びており、今後も平均寿命はさらに伸びると予想されています。
近い将来100歳を超えて生きる人は、そう珍しく無いと言えるでしょう。
その時が来るまで、美味しく食べて満足度の高い人生を過ごしたいものです。
歯と全身の健康との関係
私たちの口は、「食べる」「話す」「呼吸する」といった基本的な機能を担っています。しかし、口腔内の健康状態が悪化すると、それが全身の健康にも影響を及ぼすことが明らかになっています。
例えば、歯周病は単なる口腔内の疾患ではなく、全身疾患と深く関係していることが、多くの研究で示されています。歯周病菌が血流に入り込むことで、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることが分かっています(参考:日本歯科医学会)。また、歯周病と糖尿病には相互関係があり、歯周病を治療することで血糖値の改善が見られることも報告されています。
さらに、歯の健康は認知症とも関連があるとされています。2023年に発表された研究では、失った歯の本数が多いほど認知症の発症リスクが高まることが分かりました。反対に、80歳で20本以上の歯を保持している人は、認知症のリスクが低いというデータもあります。(参考:厚生労働省 歯科口腔保健の推進に向けた取組等について)
8020運動と歯の本数の重要性
1989年から厚生労働省と日本歯科医師会は「8020運動」を推進しています。これは、「80歳になっても20本以上の歯を保つ」ことを目標にした取り組みです。運動開始当時、80歳で20本以上の歯を持つ人はわずか10%程度でしたが、2022年の調査では51%に達しました。(参考:厚生労働省「歯科疾患実態調査」)
なぜ20本以上の歯を残すことが重要なのでしょうか?
美味しく食事をとるためには、食べ物をしっかり噛み、すり潰すことが必要です。食事を美味しいと感じる人の平均残存歯数は約20本であるのに対し、食事が美味しくないと感じる人では約11本と、大きな差があることが調査で分かっています(参考:日本歯科医師会)。実際に、およそ20本以上の歯があれば、硬い食品も満足に噛めることが確認されています。(参考:e-ヘルスネット8020運動とは)
早期からのオーラルケアが鍵
「歳をとると歯が抜けるのは仕方がない」と考える方もいるかもしれませんが、実際には歯を失う原因の90%以上が虫歯や歯周病であり、老化が直接の原因ではありません。(参考:日本歯科保存学会)
歯周病は40〜50代以降の病気と思われがちですが、実際には20代・30代でも約50%の人に軽度の歯周病症状があるとされています(参考:厚生労働省「歯科疾患実態調査」)。しかし、若年層では自覚症状が少なく、検診の機会が少ないため、歯科医院への定期受診が不足しがちです。
令和元年の歯科疾患実態調査によると、定期的に歯科健診を受ける人の割合は増加傾向にあり、1999年の16.6%から2019年には52.1%に達していることが分かりました。これは予防歯科の意識が高まっていると言えますが、特に若年層では、歯周病の進行を防ぐためにさらなる検診機会の確保が必要です。(参考:厚生労働省歯科口腔保健の推進に向けた取組等について)
正しい歯磨きの習慣化に加え、定期的に歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が可能になります。セルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせることが、生涯にわたり健康な歯を維持する鍵となります。
生涯健康な歯を保つために
人生100年時代を迎え、「100年食べ、100年しゃべり、100年笑う」ことができるよう、日々のオーラルケアを大切にしましょう。
上記のように、歯の健康は、単なる口腔の問題ではなく、全身の健康と深く関わっています。
定期的に検診を受けることで、歯を失うリスクを減らし、健康寿命を延ばすことができます。将来の医療費を抑える意味でも、今からしっかりと歯のケアを始めることが重要です。
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歯周病治療|恵比寿デンタルクリニック東京
予防治療/クリーニング|恵比寿デンタルクリニック東京